いろんな場所,いろんな人たち,フロッピーディスクに納められたハイパーカードの作品,1枚500円,ディスクラベルも1枚1枚お手製,作る楽しさ,完成させたときの喜び,夢見る,ツール。
ハイパーカード・メーリングリストが,来年のマックワールドエキスポ2001/サンフランシスコに出展する。ハイパーカードは,アップル社から87年にリリースされたソフトウェア。98年に開発が中止してしまったが,いまだファンは多い。
ハイパーカードを説明するのは難しい。文字や絵や音声や動画やボタンなどを配置して,データベースも作れるし,紙芝居のようなものも作れるし,電子ブックも作れるし,ゲームも作れるし。さらには,ハイパートークというスクリプトを利用し,アプリケーションっぽいものも作れる。いわば開発環境ともなり,しかもそれは他の開発環境より格段に敷居が低い。もし,現在も存在していれば,iMacユーザーに大きな楽しみを与えていただろう,と想像できる。
私も,絵本とか詩集なんかを作って遊んでいた。初めてウェブサイトを作ったときも,どこか,ハイパーカードを作る感覚で作っていたのをおぼえている。そう,いつしか,ハイパーカードを作り込むことはウェブを作ることに変わった。だが,あの,自分が作りたいものならなんでも作れる,という自由度の高さは,目一杯の夢を見せてくれた。ソフト自体が蘇ることはたぶんないだろうが,慣れないキーボードとマウスで徹夜で作り込んでいたあの日を,忘れることはない。そんな,夢見るツールだった。
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